2008-01-16 13:44:10
『「三国志」の世界 孔明と仲達』 [ 諸葛孔明関連書籍等紹介 ]
狩野直禎〔著〕『「三国志」の世界 孔明と仲達』
(清水書院 清水新書009 1984年第1刷、1992年第4刷 ISBN 4-389-44009-8)
「本書は統一帝国の崩壊期から、分裂時代の確定にいたるまで約一〇〇年間を、その間に活躍した人々の足跡を追いつつ、叙述したもので」(本書219ページ)あり、「孔明と仲達を軸に分裂の時代「三国志」の世界を明らかに」(本書表紙)したものということである。
後漢末から三国時代にかけての史実の概説が、(出版された年代を考えると)堅実にまとめられているという印象を受ける。そのような中でも、諸葛亮の南征に関係してビルマ‐ルートについて指摘し(本書123〜124ページ)、夷陵の戦いで登場する沙摩柯がそのビルマ‐ルートを通ってきたインド人ではないかと述べられている(本書118ページ)。さらに、241年に呉が魏を攻めたのと同時期に、蜀漢の蔣琬が漢水を下って魏興・上庸を攻めようとしたことを指摘されていることが個人的には興味深いものがある。また、新書でありながら、(『魏末伝』や『晋書』に載っている)司馬懿が曹爽から頼まれて様子を見に来た李勝を欺くエピソードが100パーセント信用はできないと指摘されていることなどは、裴松之注も含んだ『三国志』や『晋書』の史料批判の一例を示していただいているので読む側としてはありがたいと思う。
新書ということを考えると、『三国志』の時代の歴史が大変よくまとめられている。基本的な「三国史」概説をおさえておきたいと思われる方におススメである。
注)
ごらんになる方の環境によって、「葛」の字が本来の文字と異なる場合があるが、ご容赦いただきたい。
おススメ度:★★★★★
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